オヒアレフアは、ハワイ原産の植物として知られ、自然環境だけでなく伝説や象徴性と結びついて語られてきました。単なる花や木としてではなく、物語や価値観を映し出す存在です。この記事では、オヒアレフアの基本的な特徴から、伝説、花言葉の意味を解説します。
ハワイの火山地帯や森を訪れると、溶岩台地に根を張り、鮮やかな赤い花を咲かせている植物を目にすることがあります。それが、ハワイの固有種であるオヒアレフアです。フラの衣装や歌にも頻繁に登場するこの植物は単なる自然の一部としてだけでなく、ハワイの人々の精神や文化と深く結びついてきました。
この記事では、オヒアレフアの特徴や名前の由来、火の神ペレにまつわる神話、そして託された花言葉について整理します。
ハワイの固有種オヒアレフアとは

オヒアレフアは、ハワイ諸島の生態系を代表するフトモモ科の常緑高木です。ハワイの火山活動によって流出した溶岩台地において、最初に根を下ろす先駆植物(パイオニア植物)として知られています。
溶岩台地に自生するフトモモ科の植物
オヒアレフアは、標高や湿度などの環境に合わせて姿を変える適応能力の高い植物です。低地では低木として、湿潤な山地では高さ20メートルを超える大木へと成長します。ゴツゴツとした岩肌に根を張る姿は、ハワイの生命力の強さを象徴しています。
ひとつの個体に宿る木と花の名前
一般的に、この植物は木の部分をオヒア、花の部分をレフアと呼び分けます。1つの植物に対して2つの名前が存在する背景には、後述する悲恋の物語が深く関わっています。銀灰色の葉と、放射状に広がる雄しべが特徴的な赤い花のコントラストが際立ちます。
厳しい環境に適応する生態的特徴
この植物は、火山ガスや乾燥といった過酷な条件下でも生存できる特殊な仕組みを持っています。例えば、火山ガスを検知すると気孔を閉じ、有害な物質の侵入を防ぐ性質があります。不毛な大地を豊かな森へと変えていくプロセスにおいて、欠かせない役割を担っています。
名前と神話に刻まれた愛の物語

ハワイには、オヒアレフアの誕生にまつわる古い神話が語り継がれています。この物語は、ハワイの人々が自然現象を擬人化し、道徳や自然への敬意を伝える手段でもありました。
青年オヒアと乙女レフアの伝説
昔、オヒアという凛々しい青年と、レフアという美しい乙女が深く愛し合っていました。二人の絆は非常に強く、誰も引き裂くことはできないと言われていました。村の人々も、仲睦まじい二人の様子を温かく見守っていました。
火の神ペレの嫉妬が生んだ変生
ある日、火の神ペレがオヒアに恋をし、自分と結婚するように迫りました。しかし、オヒアはレフアへの愛を貫き、ペレの誘いを断ります。激怒したペレは、オヒアを醜い木の姿に変えてしまいました。嘆き悲しむレフアを見かねた他の神々が、彼女をその木に咲く花に変え、二人は永遠に一つになったとされています。
花を摘むと雨が降るという言い伝え
現代でも、レフアの花を摘むと雨が降るという言い伝えが残っています。これは、花(レフア)を木(オヒア)から引き離すと、二人の別れを悲しむ涙が雨となって降り注ぐという解釈に基づいています。この伝承は、山の生態系を守るための戒めとしても機能しています。
オヒアレフアが持つ象徴的な意味

オヒアレフアは、ハワイの伝統文化や日常生活において特別な意味を持つ植物です。その象徴性は、花言葉や地域のアイデンティティとしても根付いています。
ハワイ文化における花言葉の定義
オヒアレフアには、神話に由来する情熱的な花言葉が託されています。主な花言葉は以下の通りです。
| 項目 | 内容 | 由来 |
|---|---|---|
| 主な花言葉 | 情熱、親愛、しなやかさ | オヒアとレフアの深い愛情から |
| 別の花言葉 | 不屈、忍耐 | 溶岩地に自生する生命力から |
州島ごとの象徴としての役割
ハワイ諸島の各島には「島の花」が定められており、ハワイ島(ビッグアイランド)の島花がオヒアレフアです。ハワイ島のシンボルカラーである赤は、このレフアの花の色に由来しています。広大な火山地帯が広がるハワイ島の風景を代表する存在といえます。
フラや工芸品に込められる願い
フラにおいてレフアは、火の神ペレや山の神ラカに捧げる神聖な花とされています。レイや髪飾りとして身につける際は、自然への敬意を払い、正しい作法に従うことが求められます。その鮮やかな色彩は、生命の輝きを表現する手段として大切にされています。
オヒアレフアに関する質問
花の色は赤色以外にも存在するのか
一般的には赤色が有名ですが、黄色、オレンジ色、稀に白色のレフアも存在します。これらは変種や地域差によるもので、特に黄色いレフアは「レフア・マモ」と呼ばれ、希少価値が高いとされています。
自宅の庭で栽培することは可能か
ハワイ現地では苗が販売されており、庭木として植えられることもあります。ただし、特定の環境条件を必要とすることや、後述する枯死病の拡散防止の観点から、移動や栽培には細心の注意が必要です。日本での栽培は、気候の差から難易度が高いとされています。
オヒアレフアを枯らす病気の現状
現在、ハワイではラピッド・オヒア・デス(ROD)という菌による枯死病が深刻な問題となっています。この病気は健康な木を短期間で枯らしてしまうため、感染拡大を防ぐために靴の泥を落とす、木を傷つけないといった対策が呼びかけられています。
まとめ
オヒアレフアは、ハワイの厳しい自然環境の中で力強く生きる固有種であり、その成り立ちには切ない愛の神話が刻まれています。木と花が分かちがたい関係にあるように、ハワイの人々とこの植物もまた、長い歴史の中で精神的な絆を深めてきました。
もしハワイの地でこの花を見かけたら、その背景にある物語や、自然を保護しようとする現地の人々の思いにぜひ触れてみてください。