ハワイ諸島の「ビッグアイランド」ことハワイ島の北東部にそびえているのがマウナケア山です。
こちらの山頂部には世界各国の天文台群があり、天体観測の最高峰としても知られています。
この記事では、天文台群があるマウナケア山について解説します。
マウナケア山とはどのような山なのか、現在設置されている望遠鏡や天文台の詳細、そしてマウナケア山へ行く際の注意点などについて説明しますので、観光される際にはぜひ参考にしてください。
目次
ハワイ島のマウナケア山は世界屈指の絶景スポット
ハワイ島にあるマウナケア山は標高が4,205m(富士山は3,776m)もあり、ハワイ最高峰ですが、何と山頂まで車で行くことができます。
マウナケアとは、ハワイ語で「白い山」を意味する言葉です。
その名の通り冬になると雪が積もるため、ローカルのハワイアンたちはスキーやスノーボードを楽しんでいるそうですよ。
ハワイ島は島そのものがスピリチュアル・スポットでありますが、マウナケア山はその中でも最も神聖な場所とされています。
ハワイでは古代から「天と地をつなぐ場所」と言われ、美しく圧倒的な星空が見られることから「宇宙に一番近い場所」と呼ばれてきました。
一生に一度は見たい絶景スポットとして有名で、サンセット、サンライズ、そして視界いっぱいに広がる星空は世界屈指とされています。
天体観測に最適な環境であるため天文台群がある
マウナケア山頂付近は「天文台管区」と呼ばれる約500エーカーの特別土地利用区域になっており、ハワイ大学が管理しています。
現在、地球上で天体観測に最適な3つの場所(※)のひとつとして知られていますが、それは以下の理由からです。
- 標高4,205mと高い
- 晴天日が300日近くある
- 大気中の水蒸気量が少なく乾燥している
- 風位が安定している
- 島の人口密度が低く光汚染が少ない
- 太平洋の中央に孤立した立地である
※他の2か所はチリのアンデス山中とアフリカ西海岸のカナリア諸島の山頂
そのため、マウナケア山頂付近には11カ国13天文台が設置・運営されています。
さまざまな事情から、13基以上の天文台を建設しないという取り決めがあり、これ以上天文台が増えることはありません。
ハワイの人々にとっては最も神聖な聖地
前述したように、ハワイにおいて、マウナケア山は古代から最も神聖な場所とされてきました。
マウナケア山の頂上には雪の女神ポリアフを始めとして、多くの神様たちが住んでいるとされています。過去には多くのカフナ(神官)たちが埋葬されているとも言われており、数々の神話が残る土地です。
そのため、これ以上聖地を汚すべきではないという考えのもと、一部の先住民たちによって激しい反対運動が起こっています。
新しく建設が予定されている「30m望遠鏡」に対しても大小の反対運動が起こされており、望遠鏡は当初2021年に完成予定でありましたが、2027年まで遅れる見込みです。
マウナケア天文台にある13基の望遠鏡紹介
現在マウナケア天文台にある望遠鏡や設備を簡単に紹介します。
- すばる望遠鏡:日本
- ケック天文台1号2号:アメリカ
- ジェミニ北天文台:アメリカ・チリ・カナダ・ブラジル・オーストラリア・アルゼンチン
- カナダ・フランス・ハワイ望遠鏡(CFHT):アメリカ・フランス・カナダ
- イギリス赤外線望遠鏡:イギリス撤退後はハワイ大学とアリゾナ大学
- ジェームズ・クラーク・マクスウェル望遠鏡(JCMB):イギリスから中国・日本・韓国・台湾へ変更
- スミソニアン・サブミリ波干渉計(SMA):アメリカ・台湾
- カルテクサブミリ波天文台:カリフォルニア大学
- 赤外線望遠鏡施設:NASA
- ハワイ大学88インチ望遠鏡:ハワイ大学
- ハワイ大学24インチ望遠鏡:ハワイ大学ヒロ校
- 超長基線アレイ受信機:アメリカ
ここに、建設中の30m望遠鏡(TMT、アメリカ・カナダ・中国・インド・日本)が加わる予定です。
マウナケア天文台付近で見られる絶景
生きている間に一度は見たい絶景が見られるスポットとして、マウナケア天文台群付近は非常に有名です。
太陽が昇っている内は、山々の頭が雲海から出ている様子や珍しい高山植物の観察などが楽しめますが、壮大なサンセットから星空が見えてくるまでの30分~40分間は、素晴らしい光のショーがひっきりなしに繰り広げられます。
また、運がよければ、山頂の方向にビーナスベルトや地球の影が見えることもあります。ビーナスベルトとはさまざまな条件が整ったときに見える、空へと伸びるピンク色のライトのこと。そして、その下に出てくる青色部分が、地球の影です。
自然が作る神秘的で圧倒的な美しい現象に、息をのむのも忘れるほどだと言われています。
マウナケア山へ行く際の注意点
マウナケアの山頂は標高が高いため、まずは標高2,775mのところにあるオニヅカ・ビジターセンターで30分から1時間ほど滞在し、薄い大気に体を慣れさせなければいけません。
このビジターセンターで頭痛や吐き気などの体調不良(高山病)が起こった方は、残念ながらそれから上へは行けないと判断してください。
そのこと以外の注意点を、以下で説明します。
- 防寒具が必要
- 日焼け対策も必要
- ダイビング後24時間以内の登山禁止
- レンタカー利用の場合は車・ガソリン量・保険を確認
- 夜間はツアーを利用
防寒具が必要
常夏の国と呼ばれるハワイですが、マウナケア山頂と地上では25℃以上の気温差があります。
一般的に、標高が1,000m上がると気温が6℃前後下がると言われていますので、真夏で30℃あるとしても山頂付近は4℃くらいになります。
特に冬季は防寒具が必須です。風も強いため、スキーへ行くつもりの格好をしてください。
ツアーに参加すると防寒具のレンタル付コースも多数ありますので、どのような服装をすればいいかわからないという方は、ツアーをチェックしてみましょう。
日焼け対策も必要
山頂では大気が薄く、地上と比べて紫外線を遮ってくれるものが大きく減ります。そのため、日焼け対策も必ず行うようにしましょう。
日焼け止めをしっかりと塗り、服で肌を隠し、帽子やサングラスを利用します。
ダイビング後24時間以内の登山禁止
ダイビングを24時間以内にした方は、標高の高いマウナケア山へは登れません。
これは潜水後、すぐに気圧の低い場所へいくと、血管内に気泡ができて血管を詰まらせる症状が発生しやすくなるためです。
同じ日にダイビングとマウナケア登山の両方はできませんので、スケジュールは慎重に組むようにしてください。
マウナケア山から下りたあとであればダイビングは可能ですが、やはり体には負担が強いため、おすすめはしません。
ちなみに、参加前12時間以内の飲酒も禁止されています。
レンタカー利用の場合は車・ガソリン量・保険を確認
レンタカーを借りて自力で行く場合には、車の種類やガソリンの量、保険の確認などやるべきことがたくさんあります。
まず、車は四輪駆動車を利用してください。山頂まで車で行けますが、道の一部は舗装が行き届いていないうえに、カーブが連続したり道幅が狭くなっています。
さらに、途中にガソリンスタンドはありません。麓の町で必ず満タンにしていき、万が一のためにレンタカー会社の保険内容も確認しておきましょう(会社によって走行できる範囲や時間帯などのルールが異なるため)。
夜間はツアーを利用
山頂では車のライトが星の観測に悪影響を及ぼすことから、夜間であってもライトの点灯は禁止されています。
慣れない道であるうえに山道で危険が高く、さらに高山病のリスクもありますので、夜間に天体観測をしたい場合はツアー利用がおすすめです。
ツアーは安全面の高さはもちろんのこと、高精度の天体望遠鏡で星を見せてくれるなどの体験もあります。
マウナケア天文台で圧巻の天体ショーを楽しもう
ハワイ諸島の最高峰で、世界の天文観測でもトップであるマウナケア山にある天文台群付近は、圧巻のスケールでさまざまなものを見せてくれます。
自分が宇宙のひとつであると認識できる圧倒的で美しい体験は、生涯忘れられない思い出となるでしょう。