リマフリ・ガーデンは古代ハワイに浸れる植物園! 歴史や見どころを解説

2025.3.10

ハワイ諸島最古の島とも言われるカウアイ島。

別名「ガーデン・アイランド」と呼ばれ、太古からの崖、川、滝、熱帯雨林といった、迫力ある手つかずの自然が見られる島です。

そのノースショアにあるのが、古代ハワイアンの自給自足生活の場を保存した「リマフリ・ガーデン」と呼ばれる熱帯植物園です。

この記事では、リマフリ・ガーデンについて紹介します。古代ハワイの植物や文化を学べ、ハワイの原風景を伝える美しい植物園について、一緒にみていきましょう。

 

カウアイ島ノースショアにあるリマフリ・ガーデンとは

リマフリ・ガーデンは、カウアイ島にある古代ハワイアンの生活について学べる植物園です。

マカナ山の麓、カララウ渓谷の入り口に広がる「ハエナ地区」にあります。

単なる植物園ではなく、生態系のプウホヌア(保護区)であり、文化的に貴重なアフプア・アの跡地でもあります。

アフプア・アとは、資源管理システムのこと。山・海・川があり、その中で人々が自給自足生活できた場所における、古代ハワイの土地の支配概念のことです。

山頂から海岸までの渓谷の範囲を1個の共同生活区域とし、アリイと呼ばれる首長を中心として、その土地で得られるすべてを民族集団で共有しながら生活していました。

リマフリ・ガーデンでは、その様子がわかるようになっています。

敷地面積は約1,000エーカー(約4㎢、東京ドーム86個分)と広大で、その中には250種類のハワイ諸島固有の植物及び鳥、魚たちが、人の手が入らない自然な形で保護されています。ここでしか見られない品種も多くあり、たとえば「オププ(吸盤のようなものがある魚)」や「ロウル(ヤシ科の木)」「パーパラ(ヒユ科の木)」などがあります。

リマフリ・ガーデンの管理・運営は、 NTBG(National Tropical Botanical Garden/ナショナル・トロピカル・ボタニカル・ガーデン)が担当しています。

 

リマフリ・ガーデンの詳細

・名称:Limahuli Garden and Preserve
・住所:58301 Kuhio Hwy Hanalei HI 96714
・開園時間:火曜~土曜日 8:30~16:00(最終チェックイン14:15)
・定休日:月曜日、日曜日
・入園料:大人$30/ハワイ在住者(IDが必要)$10/子供(12歳以下・大人同伴)無料
・ツアー:あり(複数あり・ツアーによって料金は異なる)
・NTBG公式サイト:https://ntbg.org/gardens/limahuli/

※2025年1月の情報です。訪問前には公式サイトを確認するようにしてください。なお、ツアーはサイトから予約できます。

 

リマフリ・ガーデンの歴史

古代のハワイより、伝統的な自給自足のシステムであるアフプア・アをしていた渓谷の内、最大のものでした。

歌や詠唱、ことわざ、詩など(※)によく出てくる場所で、火の女神ペレにまつわる神話も数多くあります。

1875年にこのアフプア・ア全体を取得した協会の要請によって、裁判所が土地を分割、アフプア・アの単純所有権を創設開始しました。しかし、その手続きには12年もの歳月がかかり、その間にハワイはアメリカの新しい州になって、新政府はこの場所を州保護地区に指定したのです。

1967年の終わり、リマフリ渓谷の権利は、その保存と保護を長い間願って来たジュリエット・ライス・ウィックマンという女性のものになりました。

彼女はすぐにリマフリ渓谷の修復作業を開始します。

そして1976年に、現在リマフリ・ガーデンとなっている場所を非営利団体のNTBG(National Tropical Botanical Garden/ナショナル・トロピカル・ボタニカル・ガーデン)に寄贈。

残りの土地を遺産として受けた孫のチャールズ・チッパー・ウィックマンは、熱帯園芸についての学問を収めたあと、ガーデン部分に植栽を追加しました。その後、1994年に祖母と同じくNTBGへ提供し、現在の姿のガーデンになりました。

※歌や詠唱、詩などで伝えられてきた有名なものには「カーネの伝説」や「マナカのノウの伝説」などがあります。

参考:「Limahuli Garden History

 

リマフリ・ガーデンの見どころ

リマフリ・ガーデンには41のポイントがあります。

日本語で書かれたパンフレットがビジターセンターでもらえるため、先にある程度読んでからトレイルコースに入ることがおすすめです。

ハワイ固有種の珍しい植物や、外来種だけが集められた場所などさまざまな見どころがありますが、その中でもここは必須!というポイントを紹介しましょう。

  • アフプア・アの説明板
  • タロイモの段々畑
  • リマフリ渓流
  • マカナ山

 

アフプア・アの説明板

前述したように、アフプア・アは島の地形構造を利用し、自然の資源を守りながら自給自足生活をしていた「古代ハワイの資源管理システム」のことです。

ガーデンの入り口に、ハワイのアフプア・アがどのようなものであったかについての説明板があります。

ハワイでは1848年の土地法成立によって土地の私有化が広まったため、多くのアフプア・アが崩壊してしまいました。

しかし、リマフリ・ガーデンでは地区最大級のアフプア・アが保存されており、その仕組みや様子を学習できるようになっています。

 

タロイモの段々畑

タロイモ(ハワイ語でカロ)は、古代ハワイアンの主食であり、生活のほとんどに関係していた植物です。

リマフリ・ガーデンではタロイモの段々畑が見られるのですが、棚田で使われている石垣はなんと約700万年前のもの。大変貴重な考古学的遺産として知られています。

 

リマフリ渓流

ハワイの中でも自然なままで残っている、数少ない渓流です。渓谷の頂上から流れる水は244mの滝を落ち、やがて海へと届きます。

リマフリ渓流にはハワイ固有の5種類の淡水魚を始め、多くの動物や植物が生息しています。

前述した「オププ」と呼ばれている魚は、腹についているヒレが吸盤のような役割をしており、石にくっつけるだけでなく滝にも登れるそうです。

ちなみに、リマフリ渓流の水は美しく美味しそうに見えるのですが、決して飲まないようにしましょう。

水の中には動物のフンや死骸などがもたらす有害な微税物が含まれている場合があり、素足で水に入ったり傷口を水で洗ったりすることも禁止されています。

 

マカナ山

マナカ山はリマフリ渓谷を見下ろすようにそびえたつ山のことで、その昔、映画「サウス パシフィック」の舞台になりました。

マカナとはハワイ語で贈り物のこと。古代では、この山は「オーアヒ(火投げ)と呼ばれる儀式に使われたそうです。

特別な夜(王族の訪問や学校の卒業式など)には火投げ役の男性が山頂までパーパラ(固有植物のひとつ)の木の枝を持って登り、火をつけて力いっぱい海へと投げます。

火のついた枝は風にのって海の遠いところまで運ばれたそうで、それは見事な光景だったと伝わっています。

このオーアヒの火投げの儀式は長い間失われていましたが、マナカ山とナパリ・コーストの2か所で復活しています。

 

リマフリ・ガーデン見学時の注意点

以下は、リマフリ・ガーデンを訪問した際のルールです。

  • 植物園内の指示に従って進み、進入禁止のところには入らないようにしましょう。
  • トイレは駐車場の隣にある1か所のみです。
  • 飲み水は持参してください。
  • 雨がよく降る場所で足元が危ないため、傘ではなくウィンドブレーカーやレインコートの着用がおすすめです。
  • サンダルではなくスニーカーを着用しましょう。
  • 蚊が多いため虫よけスプレー持参がおすすめです。
  • 園内は「喫煙」「飲酒」「飲食」「ペットの持ち込み」禁止です。

 

古代ハワイの景色や生活方法が垣間見えるリマフリ・ガーデンへ!

リマフリ・ガーデンは、絶滅危惧の固有種を観察しながら古代のハワイの暮らしにじっくり浸れる場所です。

ゆっくり植物園全体を見て回って約1時間半ほどですが、癒しとパワーを同時に得られます。

機会があれば、ぜひ実際にカウアイ島を訪れ、リマフリ・ガーデンまで足を運んでみてくださいね。

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