ホノルルのダウンタウンにはさまざまな観光スポットが集まっていますが、中には観光客が少なくじっくり歴史やハワイの文化と向き合える場所もあります。
その中でおすすめしたいのが、今回紹介する「ミッションハウス史跡資料館」です。
こちらにはハワイ最古の建築物があり、19世紀のハワイ文化や生活模様などに触れられます。
文化遺産を保存し、アメリカプロテスタントの宣教師や彼らの子孫の歴史、ハワイの文化や人々との関わりなどについて理解を深める場所ですね。
この記事では、穴場的スポットであるミッションハウス史跡資料館について、詳細や建造物の内容、ハワイ文化にどのような影響を与えたかについて解説します。
目次
ミッションハウス史跡資料館では19世紀のハワイの様子がわかる!
ミッションハウス史跡資料館は、1820年にボストンから航海してきたアメリカ・プロテスタントの宣教師たちの伝道本部として使用されていた施設です。
生活スペースや作業スペースなどを、19世紀当時の様子のままで見られます。
当時のハワイ国王であったカメハメハ2世は、アメリカから来た宣教師たちにハワイでの布教を許可しました。
そしてホノルルのダウンタウンにあった土地一画を与えたため、宣教師たちはそこに住居や事務所を設置し、それが現在のミッションハウス史跡資料館になっています。
ちなみに、以前は「ミッションハウス博物館」と呼ばれていたのですが、2021年に改名されました。
ミッションハウス史跡資料館の詳細
・名称:ミッションハウス・史跡資料館/Hawaiian Mission Houses Histric Site and Archive
・住所:553 South king St., Honolulu
・電話番号:808-447-3910
・営業日時:火~土曜日10:00~16:00
・定休日:日・月曜日
・公式サイト:https://missionhouses.org/
※2024年の情報です。訪問前には公式サイトを確認してください。
ミッションハウス史跡資料館はツアーで内部見学可能
ミッションハウス史跡資料館には3つの棟があります。
普段は3棟とも施錠されているのですが、ガイドツアーに参加することで内部の見学ができます。
ツアーは11時から15時の間で、1時間ごとに出発です。所要時間は1時間ほどで、参加費用は$10(2024年現在)です。
参加できるツアーは次の3つ。残念ながら、現在日本語のツアーは行われていません。
【ハワイ概要見学ツアー】
毎週水曜日の15時に開催されるツアーです。現地のハワイアンスタッフが、宣教師と原住民ハワイアンの歴史、関係性について紹介します。
【建造物見学ツアー】
毎週火曜日の15時に開催されるツアーです。ミッションハウス史跡資料館の館長・ニール博士によるツアーで、ミッションハウスや周辺の建物について紹介します。
【歴史スペシャルツアー】
毎週金曜日の15時に開催されるツアーです。
歴史専門家のマイク・スモラ氏による歴史見学ツアーで、19世紀のハワイアンと宣教師の歴史物語が見られます。
参考:ハワイアンミッションハウス史跡資料館公式サイト(日本語)
ミッションハウス史跡資料館に建つ3棟
ミッションハウス史跡資料館には、以下3つの建物があります。
- フレームハウス(ミッションハウス:ハレラアウ)
- チェンバーレインハウス(チャンブリアン・ハウス:ハレカマラニ)
- カ・ハレ・バイ(印刷所跡)
フレームハウス(ミッションハウス:ハレラアウ)
フレームハウスが一般的にはミッションハウスと呼ばれている建物で、1821年に建築されハワイ諸島で最も古い木造建築物です。
使われている木材は、宣教師たちがニューイングランドで加工したものをはるばるハワイまで運んで、この地で組み立てたそうです。
1820年にハワイにやってきた宣教師、ハイラム・ビンガムの住居として使われました。
ビンガムはカワイアハオ教会の初代牧師でもある人物です。宣教師夫妻の寝室、孤児を収容したという寝室、食堂などが復元されており、当時のままの調度品も見られます。
台所には当時の食材や調理器具なども再現されており、19世紀の宣教師の生活がよくわかる家です。
フレームハウスには、カメハメハ大王の妃でキリスト教の強力な推進者だったカアフマヌ王妃が滞在した客室や、1828年にハワイに宣教師団の一員としてやってきたゲリット・ジャッド医師の診察室などもあります。
チェンバーレインハウス(チャンブリアン・ハウス:ハレカマラニ)
チェンバーレインハウスは1831年に建てられた館で、宣教師の住居、かつ貯蔵庫として使われていました。ハワイ諸島で2番目に古い建築物です。
宣教師へ食料や物資の供給をしていたレビ・チェンバーレイン(チャンブリアン)氏にちなんで名づけられています。
こちらは木造ではなく、サンゴ礁の岩板(ブロック)で建てられたものです。
中には当時のダウンタウンの街のミニチュア模型や、ジャッド医師の薬瓶などのコレクションが展示されています。
カ・ハレ・バイ(印刷所跡)
カ・ハレ・バイは1841年に建てられました。
チェンバーレインハウスと同じくサンゴ礁の岩板で作られているため、白い壁が特徴です。
建築当時は宣教師の家族や訪問者の寝室の別館として使われていました。
現在は、ハワイ初期の本が印刷された機械のレプリカが展示されています。
ミッションハウスに住んだ宣教師たちがハワイにもたらしたもの
ミッションハウスに住んだアメリカの宣教師たちは、ハワイにキリスト教以外の重要な、以下のものももたらしました。
- 文字(ハワイ語の表記)
- 印刷技術
- ハワイアンキルト
文字(ハワイ語の表記)
宣教師がハワイへ与えた最もよい影響とされているのが「文字を残した」ことです。
宣教師がハワイへ移住した当初、ハワイには文字がありませんでした。すべては口頭で伝えられてきたのです。
そのため宣教師たちは、布教活動にはかかせない聖書をハワイ語で作ることから始めました。
ハワイ原住民との長期間の共同作業によってハワイ語が表記可能になり、初めてハワイ語で印刷された書物や新聞などができたのです。
作業は、単語のひとつひとつの発音を何度も確認し、アルファベットに置き換えていったと伝わっています。
音をアルファベットに当てて置き換えたため、日本で使うローマ字と同じ発音表記になりました。
印刷技術
ハワイ語が完成すると、宣教師たちがボストンから持ち込んだ印刷機で聖書を印刷するとともに、その印刷技術を伝えました。
ハワイ初の綴り発声練習帳やハワイ語の新聞がマウイ島で印刷されることになり、それまで口述だけで受け継がれてきたハワイ語は、大きな転換を迎えます。
ハワイアンキルト
ハワイアンキルトもここからスタートしています。
宣教師の妻たちが持ち込んだパッチワークキルトがハワイアンキルトの原型で、ハワイの女性たちの間でキルト作りが広がるきっかけになりました。
▼ハワイアンキルトや伝統模様については以下の記事で詳しく解説しています。
ハワイアン・ミッションハウス史跡資料館で歴史を体感しよう!
ハワイの歴史に触れたい方は、ミッションハウス史跡資料館をぜひ訪ねてみてください。所要時間は1時間ほどで、19世紀にアメリカからきたプロテスタントの宣教師たちの生活が垣間見られます。
緑の芝生が美しい敷地内には、お土産が買えるギフトショップやのんびりできるカフェも併設。ハワイの歴史と風を感じながら、ゆったりした時間が過ごせることでしょう。
▼こちらの記事も読まれています。