リジェネラティブ・ツーリズムとは? ハワイで広がる新しい旅行スタイルについて解説

2025.2.3
リジェネラティブ・ツーリズムとは? ハワイで広がる新しい旅行スタイルについて解説
この記事の主な内容
  • リジェネラティブ・ツーリズムの概要と取り組みについて
  • リジェネラティブ・ツーリズムがなぜ注目されたのか
  • ハワイへ行く観光客ができることについて

 

ハワイは美しく雄大な自然環境と長い歴史の中で育まれてきた独自の文化を持ち、世界中から観光客が集まる場所です。

まさに楽園と呼べるハワイですが、観光客の急激な増加などによって自然やハワイ独自の文化に対する悪影響も現れてきました。

そこで広がりつつあるのが、リジェネラティブ・ツーリズムです。

この記事では、リジェネラティブ・ツーリズムとはどのようなものか、ハワイに新しい旅行スタイルが広がる過程や具体例、観光客ができることなどについて解説します。

ハワイの美しい自然や文化を守りながら、刺激的で楽しい旅行ができるよう、考えるきっかけになれば幸いです。

▼以下の記事でプラスチック削減の取り組みについて解説しています。

オアフ島で実施されているプラスチック削減の取り組みとは?

 

リジェネラティブ・ツーリズムとは?

リジェネラティブ・ツーリズムとは?

リジェネラティブ・ツーリズムとは、環境再生と訳される言葉です。

具体的に説明すると「訪問前よりも、訪問後の方が良い状態になっていること」を目指す旅行のスタイルで、観光活動を通じて地域の自然環境や社会に積極的な回復と改善をもたらすための活動です。

リジェネラティブ・ツーリズムとは、観光客が地域の環境や文化を回復させるためのプロジェクトに参加したり、ツアー会社が環境保護団体と協力し、生態系の修復に取り組むツアーを組んだりして、現地の人と観光客とがともに文化や自然の再生を進める形を促進するものです。

その他の新しい旅行スタイル

他にもサステナブル・ツーリズムやレスポンシブル・ツーリズムという言葉があります。

  • サステナブル・ツーリズム:持続可能な観光を指す言葉で、環境保護と地域経済の維持を重視する旅行スタイル。
  • レスポンシブル・ツーリズム:責任ある行動や意思決定を伴う旅行という意味で、観光客自身がどのように行動すべきかを重視する旅行スタイル。

サステナブル・ツーリズムがまずあり、そこに個人が責任をもって自ら行動することが強調される考えが発生しました。

そしてさらに、単なる環境保護の考えを超え、観光活動を通じてその土地の自然環境や文化、社会に積極的に回復をもたらすという考えが生まれ、リジェネラティブ・ツーリズムという形になったのです。

 

ハワイにおけるリジェネラティブ・ツーリズムの過程

ハワイにおけるリジェネラティブ・ツーリズムの過程

ハワイ州観光局は2020年から2025年までの観光戦略に「自然保全」「文化継承」「コミュニティ・リレーション」「ブランドマーケティング」の4本柱を掲げ、リジェネラティブ・ツーリズムの推進を目指してきました。

それまでのハワイは、長年にわたるオーバーツーリズムによって「自然破壊」や「高騰する物価」などさまざまな課題に直面しており、世界中からの観光客による過剰な消費と環境破壊に、ハワイアンたちの不満も高まってきていたのです。

そこにCOVID-19(コロナ)感染症のパンデミックが発生し、観光客の受け入れが停止しました。その結果、海が透明度を取り戻すなど、自然が回復した事実をハワイアンは目の当たりにします。

そして観光のやり方やその結果について議論が活発化することとなり、リジェネラティブ・ツーリズムが注目され始めました。

ハワイ州観光局はリジェネラティブ・ツーリズムの導入に際して「マラマ・ハワイ」という新しいコンセプトを発表しています。

思いやりの心をもってハワイを楽しもう、ハワイの文化や自然の再生を一緒に進めよう、というメッセージを発信し、現在は、観光客に対してポジティブな行動を促しています。

 

ハワイのリジェネラティブ・ツーリズムの例

ハワイのリジェネラティブ・ツーリズムの例

ハワイでは、各島でリジェネラティブ・ツーリズムの取り組みが進んでいます。ここで、これまで実施された取り組みについて、いくつかの例を紹介しましょう。

  • ビーチクリーンアップ
  • 植樹
  • カルチャーワークショップ
  • タロイモの植え付け

ビーチクリーンアップ

観光客と地元住民が協力し、ワイキキビーチやノースショアのビーチでゴミ拾い(プラスチックゴミなど)を行う取り組みです。

主催しているのはサーフライダー財団で、毎月定期的に活動を実施しています。

財団の認証を受けたビーチ近くのレストランでは、イベント参加者に朝食を無料でサービスする特典を提供しています。

サーフライダー財団以外にもビーチクリーンアップイベントは多数開催されているため、ぜひ参加してみましょう。

植樹

ハワイ本来の自然を取り戻すため、絶滅危惧種に指定されているコアの木やサンダルウッドなどの植樹運動が実施されています。

オアフ島とハワイ島の2か所で植樹ツアーを開催しているのは、非営利団体「ハワイアン・レガシー・リフォレステーション・イニシアティブ」です。

企画の中には自分で植えた木の成長をWEBで見守れるものもあり、ハワイから遠く離れた自宅でいつでも自分が植えた木が育っていく様子が確認できると人気があります。

カルチャーワークショップ

ワイキキの中心地にあるロイヤルハワイアンセンターでは、観光客がハワイの伝統文化を体験できるワークショップがあります。

フラダンスやウクレレのレッスン、レイメイキングなどさまざまなワークショップがありますが、いずれも無料で提供されています。

タロイモの植え付け

ジュラシックパークなど複数の映画のロケ地として有名なクアロアランチでは、古代ハワイアンの主食であったタロイモの植え付けや収穫、掃除の手伝いなどが組み込まれた「マラマ体験ツアー」を開催しています。

カロ(タロイモ)がハワイアンにとっていかに大切なもので、重要な栄養源であるかなどについて、じっくりと学べる機会です。

 

観光客がハワイでできること

観光客がハワイでできること

観光客がハワイを訪れた際にできることは何か、順番にみていきましょう。

代表的な行動には、以下のようなものがあります。

  • ゴミは持ち帰って処分する
  • リーフセーフの日焼け止めを使用する
  • エコバッグを持参する
  • 現地のルールを守る
  • ホテルや旅行会社が主催するイベントや活動に参加する

外で出たゴミをホテルまで持ち帰って処分すること、そして買い物にエコバッグを持参することは、日本人にとってはさほど難しいことではないでしょう。

日本と同じようにゴミを捨てない、買い物袋は自分のものを使うといった行動を積極的にしてください。

そして、ハワイではサンゴに有害な薬剤が使われている日焼け止めは使用不可となっています。海に入る際には、ハワイで販売されているリーフセーフの日焼け止めを使うようにしましょう。

ホテルや旅行会社が主催するイベントや活動への参加は、これまでの旅とは少し異なる経験になると思います。

その土地の文化や歴史が身近に感じられ、問題や課題が他人事ではなく自分事のように思える機会が得られるため、おすすめです。

▼以下の記事でハワイの伝統文化や旅行時のマナーについて解説しています。

ハワイの伝統文化とは? 旅行時に注意が必要なマナーについても紹介

 

ハワイで広がるリジェネラティブ・ツーリズムを体験しよう

世界中、いたるところで環境破壊が進みつつあります。

ハワイでも数十年ほど続いたオーバーツーリズムによって、他の国々と同様に、美しい自然や独自の文化が少しずつ破壊されてきました。

現在は「旅先でただ消費する」だけではなく、訪問前よりも少しよい状態にしてから帰宅するといった旅のスタイルが促進されています。

美しいハワイの自然環境や住んでいる動物、そして人々の文化を守るため、観光客が訪問時にできることは何かを考え、ひとつずつ行動にうつしていくようにしましょう。


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