美しい植物を使って作られたレイは、多くの方がハワイと聞いて真っ先に思い浮かべるもののひとつ。
レイ(Lei)とはハワイ語で「愛しい人」や「絆」といった意味がある言葉で、伝統的な装飾品のことであり、贈られたレイごとにさまざまな意味が込められています。
この記事ではハワイアンレイとその歴史や込められた意味、使われるシーン、装飾品の種類や使われる素材の種類と、レイに関するタブーなどを紹介します。
ハワイの文化に深くかかわるレイについて、ぜひ知識を身に着けていきましょう。
▼ハワイの文化やマナーについては以下の記事で詳しく解説しています。
ハワイアンレイは「装飾品」のこと
レイとは、花や葉などの植物やその他さまざまなもので作られる輪や線状になったもの。端的に言えば、身体を飾る装飾品のことです。
多くの方はハワイに降り立った飛行場で首にかけてもらうことが、人生で初めてのレイ体験になるでしょう。
日本の神道に似ていますが、ハワイも古くから神羅万象に神が宿るとされていました。
個々に神が宿るということは、さまざまな植物や動物にも神々が宿っているということであり、その一部を使って作るレイには「神々を崇める手段のひとつ」としての面があります。
そのため、ハワイアンレイは祈りを捧げる際にも使われてきました。
ハワイ諸島に主な島は6島ありますが、各島にはそれぞれの島を象徴するレイが規定されています。
【6島のレイとして規定されている植物】
- オアフ島:イリマ
- ハワイ島:オヒアレフア
- モロカイ島:ククイ
- マウイ島:ロケラニ
- ラナイ島:カウナオア
- カウアイ島:モキハナ
▼ハワイの主要6島については以下の記事で詳しく解説しています。
ハワイアンレイの歴史
自然にあるもので形を作って体を飾る装飾品、つまりレイの起源は数千年と言われており、植物などを使ったレイが最初に歴史上の記録として登場したのは紀元前750年のギリシャです。
オリンピックでの勝者に贈られた、オリーブと月桂樹の冠などがそれに当たります。
ただし記録に残っているものの最初がギリシャであるというだけで、実際にはもっと以前から使われていたと推測されています。そしてハワイには、アジア圏内をめぐってたどり着いたポリネシア人が、その文化を持ち込んだとされます。
レイを使うことで社会的地位を表したり、魔除けや神々への信仰心を表現したり、幸運祈願で身に着けていました。
ハワイアンレイが意味するもの
レイは使う植物やその他の素材によってさまざまな意味を持ちますが、基本的には感謝や祝福、愛情を表します。ALOHAの精神ですね。
愛情や友情の証として、思いを込め時間をかけて作りますが、最も重要視されるのは「贈る相手を思う気持ち」です。
ハワイアンレイが使われるシーン
歓迎するとき、誕生日や卒業式、結婚式などの人生における節目のお祝いなどに使われます。
特に学校の卒業式は圧巻で、生花はもちろんのこと、スクールカラーを使ったリボンで作られたレイや、スナックなどのお菓子をつないで作ったレイなど、さまざまなレイが行き交います。
参考サイト:美しきハワイアンレイ 意味を知って身につけたい
ハワイアンレイの種類
ハワイアンレイの種類についてみていきましょう。部位別と形状別に簡単に紹介します。
【部位別】
- レイポオ:頭に花冠のように載せるレイ
- レイクぺエ:手首や足首につけるレイ
どちらもフラにはかかせないレイです。
【形状別】
- クイ:素材を一列に重ねたレイ
- ヒリ:素材を細かく編み込んだレイ
- ウィリ:素材をツイストさせたレイ
- ハク:複数種類を混ぜ合わせたレイ
フラワーレイの代表的な種類
花を使ったレイの代表的な種類には、以下のようなものがあります。
【ピカケ】
ジャスミンを用いるレイで、ハワイ語で「孔雀」を意味する。蕾の状態の花をビーズのようにつなぐ。結婚式の際に花嫁が身に着ける。
【マイレ】
キョウチクトウ科の植物の葉で作られたレイで、線状のレイ。フラに使われたり、結婚式で花婿が身に着けたりすることが多い。
【ハラ】
パンダナスの果実で作ったレイで「終わりと始まり」を意味する。卒業式や入学式でよく使われる。
【プア・キカ】
贈られるのは主に男性で、細長い植物で作られる。乾燥しても色や形を保てるため、お土産としてもよく使われる。
【オハイ・アリイ】
南米産の赤と黄色の花で作ったあでやかなレイで、多くの場合、ハレの場で女性に贈られる。
【ティ・リーフ】
古くから衣食住のすべてで利用されてきた植物で、邪気を払う力があるとされるため、僧侶などが身に着ける。
参考サイト:ハワイアンレイに込められた意味とは。歴史や種類、マナーまで徹底解説!
ハワイアンレイで使われる素材
レイの材料としては、自然界のあらゆるものが使われています。初期は貝殻、イノシシの牙、犬の歯、骨、髪の毛などが用いられていました。
その中にある伝統的なレイのひとつに、鳥の羽を重ねて作ったフェザーレイがあります。
羽のレイは長い時間をかけて作る高級品であるため、首長や王家の人のみが身につけることを許されていました。
近年は草花、木の実、海草など植物を用いたものが主流となっています。
基本的にレイに使うものは何でもOK
レイの素材は、アレルギーに配慮する以外に、基本的にNGにはなりません。
たとえば最近では、新しい素材として紙やセロファンを用いたものもありますし、キャンディーやお酒のミニボトル、ワインボトルのコルク、ゴルフボールをつないだものなどのレイも存在します。
大切なのは贈る相手を思う心であるため、相手に合わせることが重要で、素材は自由に使われています。
ワイアンレイのタブー
ハワイでレイを贈られたときの、タブーについて紹介します。
基本的には以下のような「人の気持ちをおろそかにする」行為はしないよう、気を付けましょう。
- 贈られたら必ず受け取る
- くれた人の前で外さない
- 他の人にあげない
- 自分でレイを掛けなおすときには花の芯が左上にくるようにする
- ゴミ箱に捨てない
- 妊婦さんには輪になったレイを贈らない
下2つの「ゴミ箱に捨てない」と「妊婦さんには輪になったレイを贈らない」について、詳しく解説します。
ゴミ箱に捨てない
レイは贈る人の気持ちがこもったものであるため、外したあともゴミ箱に捨ててはいけません。
現地の人は翌日にお墓参りをしてもらったレイをお供えをしたり、海に流したり、記念にとっておいてドライフラワーにしたりします。
旅行者はいただいた翌日にカメハメハ大王の像にかけるか、糸やリボンをほどいて海へ流すか、土に載せて自然に還すのがマナーです。いずれも難しいようなら、ホテルを出るときにホテルの部屋のベッドにそっと置いていきましょう。
妊婦さんには輪になったレイを贈らない
何かのときに妊婦さんへレイを贈る場合は、輪になっていないものを贈るようにします。
クローズレイと呼ばれる輪になったレイは、胎児のへその緒が絡まると信じられているため、タブーです。妊婦さんには1本になったオープンレイを贈るか、首にはかけられない小さな輪のレイを手にかけるようにしましょう。
参考サイト:ハワイアン・レイのすべて(歴史・目的や意味・エチケット)
ハワイアンレイはALOHAの精神が宿る贈り物!
ハワイの人々が贈り合うレイには多くの意味合いがあり、そしてその背景には長い歴史があります。
ハワイではレイを作る教室も多くの場所で開催されていますので、ご興味ありましたらぜひ一度参加してみてください。大切な人へ思いを込めて、世界にたったひとつのレイを作ってみましょう。
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