- 国立太平洋記念墓地(パンチボウル・メモリアル)とパンチボウルの丘について解説
- パンチボウルの丘の歴史や名称の由来
- 国立太平洋記念墓地(パンチボウル・メモリアル)へのアクセス方法
ホノルルのダウンタウンを一望できる丘「パンチボウル」は、ダイヤモンドヘッドと同様に噴火口の跡のクレーターです。
ハワイの神話にも登場するこの丘は、現在は英霊たちが静かに眠る場所、アメリカの国立太平洋記念墓地として利用されています。
この記事では、国立太平洋記念墓地とパンチボウルの丘について解説します。
ハワイ神話にはどう関係するのか、また丘の名前の由来などについても触れますので、参考にしてください。
目次
国立太平洋記念墓地はアメリカで2つしかない国立墓地のひとつ
パンチボウルメモリアルとは、オアフ島のパンチボウルと呼ばれる丘の上にある、国立太平洋記念墓地のことです。
ここには、第一次世界大戦や第二次世界大戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争の戦没者とその家族など、およそ53,000人が宗教の隔たりなく埋葬されています。
建設は1949年、第二次世界大戦の後でした。広大な敷地には緑の芝生が美しく敷かれ、平たいパネル状の墓碑が置かれています。
墓地の正面には高さ約9mの巨大な女神像「レディ・コロンビア」が守る「ホノルル・メモリアル」と呼ばれる歴史施設があります。
アメリカが関わった戦争の軌跡が地図と共に展示されており、子どもの戦争教育にも利用されている場所です。中央部分にはチャペルが設置されています。
そして、女神像の正面にある長い階段の両脇には、複数の戦争で行方不明になった兵士たちの名前が記された石碑が建っていますよ。
毎年5月のメモリアルデーには、ボーイスカウトによってすべての墓碑に生花のレイが捧げられます。
パンチボウルメモリアルは、1976年に国家歴史登録財に指定されました。
パンチボウルメモリアル(国立太平洋記念墓地)の詳細
名称:National Memorial Cemetery of The Pacific
住所:2177 Puowaina Dr., Honolulu
電話番号:(808) 532-3720
営業日時:3月2日〜9月29日 8:00〜18:30 / 9月30日〜3月1日8:00〜17:30
入場料:無料トイレ:あり
駐車場:あり(無料)
公式サイト:https://www.cem.va.gov/CEM/cems/nchp/nmcp.asp
※2024年の情報です。訪問前に公式サイトで最新情報を確認してください。
パンチボウルの名前の由来とペレの伝説
国立太平洋記念墓地があるパンチボウルは、オアフ島の中心部、ホノルルのダウンタウンを見下ろす位置にある丘です。
75,000年から100,000年前に火山活動によってクレーターの形になりました。
南北の長さは670m、東西の長さは550mで標高は約164mあります。
では、パンチボウルの名前の由来や、ハワイ神話でのペレとの関わりについて紹介しましょう。
ハワイ語の名前の由来
フルーツパンチなどを入れるパンチボウルと形が似ていることからそう呼ばれているのですが、古代ハワイで呼ばれていた名前はプオヴァエナ(Puowaena) やプオヴァイナ(Puowaina)でした。
言葉の意味は諸説あり、その中のひとつに「真ん中の丘」という意味があります。
これは、オアフ島の南側の海から見ると、パンチボウルはダイヤモンドヘッドとソルトレイクの丘の真ん中にあるためです。
かつての船乗りたちは真ん中にあるパンチボウルを目指し、ホノルルに向かったと伝わっています。もうひとつは「犠牲(生贄)の丘」という意味です。
昔はクレーターの端に岩でできた祭壇があり、そこに多くの生贄が捧げられていたことによります。
かつて、この丘の周辺には4つの神殿があり、その内のひとつ「カネラアウ神殿」は人身供物を捧げる類の神殿でした。
生贄にされたのはカプ(ハワイのタブー)を犯したものや、戦争の捕虜など。
罪人たちはカネラアウ神殿に集められ、儀式のあとにクレーターの岩の祭壇で焼かれたそうです。現在その祭壇は残っていませんが、周辺に展望台が設けられています。
▼以下の記事でカプについて解説しています。
火の女神ペレが住んでいた丘
パンチボウルはハワイの神話にも登場している丘です。
ハワイの火の女神ペレは南の島から神の導きによってハワイに移住しましたが、ハワイ島のキラウエアに落ち着くまでに、ニイハウ島、カウアイ島、オアフ島と順番に移り住んだとされています。
そしてオアフ島に来たときに、パンチボウルに住んでいたそうです。
しかしその当時、パンチボウルはすでに火山活動が終了していたため、ペレにとってよい住み心地ではありませんでした。
そのためペレは、隣のモロカイ島へ移動していったと伝わっています。
パンチボウルメモリアルへの行き方
パンチボウルへは、以下3つの行き方があります。
- 公共バス
- レンタカー
- トロリー
公共バス
ワイキキのクヒオ通りから13番か42番のバスに乗り、アラパイトランジットセンターで15番のバスに乗り換えます。
プオワイナドライブ(Puowaina Dr.)とホオクイストリート(Hookui St.)の交差点で下車してください。
そこから坂道を500mほど登ると正門が見えてきます。
レンタカー
ワイキキからは車で20分程度です。
アラワイブールバード(Ala Wai Blvd.)からマッカリーストリート(McCully St.)へ右折します。900mほど進んだところで左折してベレタニアストリート(S.Beretania St.)へ。
その先にある交差点をプナホウストリート(Punahou St.)へ向かって右折、H1フリーウェイを越えて3つ目の信号で左折してネホアストリート(Nehoa St.)を1㎞ほど走ります。
アウワイオリムストリート(Auwaiolimu St.)に右折したら、突き当りのプオワイナドライブ(Puowaina Dr.)を左折、100m先にある橋の手前に入口が見えます。
トロリー
トロリーでも行けますが、トロリーでは途中下車ができません。墓地前にトロリーが来て、写真撮影のために停まるだけです。
そのため写真を撮ることが目的の場合は、トロリーを利用するとちょうどよいでしょう。
パンチボウルメモリアルでの過ごし方
パンチボウルでは、次の2つの過ごし方がおすすめです。
- ピクニックでのんびりする
- 展望台からの絶景を楽しむ
墓石の周囲にシートを敷き、故人を懐かしみながらピクニックしている現地の人たちはたくさんいます。
芝生が美しい場所ですので、軽食や飲み物を持ってきてのピクニックがおすすめです。風と光を浴び、ピースフルな雰囲気の中でじっくり心身を休めましょう。
また、パンチボウルには展望台があります。ホノルルを一望でき、天気の良い日には青い空と海までもが楽しめると人気です。
ただし、あくまでも厳粛な墓地であることを忘れずに、敬意を払った行動をするようにしてください。
パンチボウルメモリアルでピースフルなひとときを
日本の一般的な墓地とは異なり、アメリカ式の墓地は明るく開放的で、平和な雰囲気に満ちています。
パンチボウルメモリアルは、観光地としてたくさんの観光客を受け入れている場所です。
アメリカでは2つしかない国立墓地ということで、アメリカ本土からも多くの方が訪れていますよ。
小高い丘の上にあるため、光に満ちて風も気持ちよく通り抜け、手入れの行き届いた芝生が美しく輝いています。
ホノルルを見下ろせる絶景スポットとしても有名ですので、ぜひ一度は足を運んでみてください。
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