- アロハシャツの基本情報について
- アロハシャツの歴史を解説
- ハワイのアロハシャツ有名ブランドを紹介
丈夫な作りでゆったりとした着心地、南国を思わせるトロピカルな絵柄や色合いが美しいアロハシャツはハワイにおいては第一級の装いであり正装です。
仕事はもちろんのこと、冠婚葬祭にも男性はアロハシャツ、女性はホロクやムームーが使用されています。
この記事ではアロハシャツの歴史について、アロハシャツのTPOに合わせた柄やボタンの違い、アロハシャツの歴史などを解説します。
目次
アロハシャツはハワイの正装
アロハシャツはハワイに伝わる開襟シャツで、男性の正装として利用できます。
大自然やフラを踊る女性といったハワイ特有の柄や、金魚や虎などの和柄が明るく華やかな色で染め上げられており、素材はシルクやレーヨン、ポリエステル、綿などです。
なお、現代ではプルオーバーやボタンダウンといったものもアロハシャツとして作られているため、開襟のものが伝統的なアロハシャツということになります。
ハワイの男性はTPOに分けてシャツの柄を選ぶ
正装として着る場合、男性が選ぶシャツの柄は古代ハワイアン伝統のタパの柄です。
葬儀では「万物の終わり」を意味するラウハラの葉の柄が入ったシャツで弔意を表す意味で使います。
そして結婚式には「結ぶ」という意味を持つマイレの葉の柄のシャツを着ます。
また、船出や事業をスタートさせる際には、「偉大なキャリアのスタート」の意味を持つウルの木の柄が入ったシャツが良いとされています。
本来のアロハシャツはボタンに違いがある
さまざまなアロハシャツが製造されていますが、ボタンの材料によって「アロハシャツ」と呼んでよいかどうかが異なります。
本来、アロハシャツと呼ばれるものは、ヤシの木やヤシの実製のボタンを用いたものだけです。
ボタンがプラスチック製の場合は「プリントTシャツ」や「アロハ風シャツ」なのですが、現在の日本ではボタンの違いについては知られておらず、多くの人が「開衿」で「プリント柄」のものをアロハシャツと呼んでいます。
ただし、1930年代の貝殻製ボタン、1950年代のバンブー製ボタン、1950年中頃の紋章入りの金属製ボタンなど、時代によってさまざまな素材が流行りました。
ヴィンテージ感の演出のために、現代でもそれらの素材が利用されることもあるそうです。
ハワイのアロハシャツの歴史
アロハシャツの起源は、日本の和服とされています。
起源は諸説ありますが、日本人や日本という国がアロハシャツに深く関わっていることは間違いありません。
では、アロハシャツの歴史を簡単に振り返ってみましょう。
日本人移民が来ていたシャツがアロハシャツの原型
西洋文化が入ってきたハワイ王国では、英米からの人間が着ていた「フロックシャツ」を真似て作られた「パラカシャツ」という、開衿の丈夫な縫製のシャツが労働者の間に広まっていました。
ハワイは1860年代より移民を積極的に受け入れた歴史があり、中でも日系や中国系などのアジア系移民はたくさんいました。
彼らは移動する際に持参した自国の布地を使って、ハワイの労働者が着用しているパラカシャツを仕立てていました。
そのためもともとは格子柄や無地だったシャツに柄物が増え、日本の浴衣で作ったシャツやサモアのカパ文様のシャツなど、アロハシャツの前身となるものが出現し始めたのです。
日本からの移民は母国から持参した着物や浴衣が古くなると、その切れ端で子どもにパラカ風のシャツを作って着せていました。
和装特有の色や柄がハワイの人々の目に新鮮にうつり、徐々に広まったと言われています。
日本人移民が経営していた「武蔵屋」
武蔵屋は、最初の官約移民のひとりである宮本長太郎が、ハワイで1904年に創業した服飾店で日本の反物を使ってシャツを作る会社でした。
その長太郎が亡くなると、日本で暮らしていた長男がハワイへ帰国、店名を「ムサシヤ・ショーテン」と変更し、ハワイに来る観光客を相手に商売をしました。
このムサシヤが、1935年にアロハシャツという言葉を広告に使用した記録が残っています。
ところが、その翌年の1936年に、中華系移民のエラリー・J・チャンがアロハシャツの商品登録を申請し、20年間の独占利用を認められました。
そのため、他のメーカーは「アロハシャツ」という言葉が使えなくなり、ハワイアンシャツと呼ぶようになりました。
現代にも2つの呼び方が残っていますが、アロハシャツとハワイアンシャツはどちらも同じものです。
どちらが正しい呼び方ということはないのですが、一般的にはアロハシャツで知られています。
ちなみに、このエラリー・チャンが自身の店で最初に扱ったアロハシャツは「ムサシヤ」が仕立てた和柄のシャツでした。
1950年代にアロハシャツは黄金時代に
ハワイでは、1950年ごろに、砂糖やパイナップルに次ぎアロハシャツを始めとするアパレル産業が、第3位の産業となりました。この時代がアロハシャツの黄金時代です。
1940年代にはアロハウィークが、1948年にはアロハウェンズデーが、1956年にはアロハフライデーが始まり、ハワイでのアロハシャツの販促キャンペーンが次々に起こりました。
- アロハウィーク:ハワイの伝統的なお祭りを大きなイベント化したもので、この期間中はさまざまな職場でアロハシャツ着用での労働が認められました。
- アロハウェンズデー:小売店によるキャンペーンで、水曜日にはアロハシャツを着て働くことが推奨されました。
- アロハフライデー:ハワイアンファッション組合の提唱キャンペーンで、カジュアルウェアデーとして現代まで継承されています。
ハワイのアロハシャツ有名ブランド
自分も素敵なアロハシャツがほしいと思った方のために、ハワイで人気のアロハシャツブランドを3つ紹介します。
- トリ・リチャード(TORI RICHARD)
- カハラ(KAHALA)
- レイン・スプーナー(Reyn Spooner)
トリ・リチャード(TORI RICHARD)
1956年にハワイで創業した、老舗のアロハシャツブランドです。
最初は女性のリゾートウェアで始まったアパレル会社ですが、1970年代にメンズウェアも開始し、一時期はウィメンズをやめメンズウェアのみを作っていた時期もありました。
現在は、男女どちらのアパレルも展開しています。
素材とデザインにこだわった服作りが評判で、他の人とは違う服を望む方におすすめです。
カハラ(KAHALA)
カハラは1936年にジョージ・ブランジェとナット・ノーフリートによってハワイのホノルルで創業した、歴史あるアロハブランドです。
創業当時、アロハシャツはすべて日本の着物生地からオーダーメイドで作られていました。
1940年代からはハワイの生活や文化をモチーフにしたデザインも多くなり、色使いが特徴的でエレガントな雰囲気のアロハシャツを制作。
シャツには綿100%のブロード生地を使用しており、耐久性に優れているのが特徴です。
レイン・スプーナー(Reyn Spooner)
レイン・スプーナーは、アメリカのカリフォルニアで紳士服店を営んでいたレイン・マッカラー氏と、ワイキキでカスタムメイドでスイムウェアを作るルース・スプーナー氏が共同ビジネスとしてスタートさせたブランドです。
アロハシャツのみならず、ポロシャツやスイムウェアなどさまざまな高品質製品を展開しています。派手過ぎないデザインのアロハシャツが好きな方に、おすすめです。
アロハシャツはカジュアルから正装にまで使える万能シャツ
アロハシャツは、英米から入った開襟シャツがハワイで独自の進化を遂げたものです。
サーフィンや仕事をしているときから冠婚葬祭まであらゆるシーンで活用できるとても便利で丈夫な万能シャツで、ハワイの男性はTPOに合わせて柄を選んでいます。
気に入った柄のアロハシャツを、日常生活に取り入れてみてください。きっとその魅力のとりこになりますよ。
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