マウイ島の有名な名所のひとつ「イアオ渓谷州立公園」は、ハワイ語で「至高の光」という意味を持つ場所です。
古代からマウイに住む人々によって受け継がれてきた神聖な場所ですので、マウイ島を訪問するのであればぜひ立ち寄ってみましょう。
ここでは、マウイ島が誇るイアオ渓谷州立公園について解説します。
渓谷にまつわる神話や歴史、訪問時の注意点などについてまとめましたので、参考にしてください。
目次
イアオ渓谷はオアフ島の神聖な場所
イアオ渓谷は、西マウイ山脈に囲まれたマウイ島を代表する景勝地、そしてハワイのパワースポットのひとつです。
「太平洋のヨセミテ」とも称される美しく雄大な自然に包まれた場所で、約16㎢もの広さを持ちます。
渓谷の底にあたる部分は現在州立公園として整備されており、ハイキングや森林浴が楽しめます。
また、マウイ島で最も有名なランドマークである「クカエモク」、通称イアオ・ニードルも公園内にあり、トレイルコースで近くまで行けます。ぜひ展望台からじっくりと眺めてみてください。
イアオ・ニードルは標高360mの針のようにとがった岩のことです。先端が鋭くとがっているため「針(英語でニードル)」と呼ばれています。後述しますが、このイアオ・ニードルにはハワイの神話が残っていますよ。
イアオ渓谷は約1,000年前には王族や酋長といった高位な人々が住んでいたとされ、神話が残る場所やマナが宿るパワースポットとしても有名です。
イアオ渓谷の情報
- 正式名称:イアオ渓谷州立公園(Īao Valley State Monument)
- 開園時間:7:00~18:00
- 休園日:特になし
- 入園料:ハワイ居住者は免許証の提示で無料、非居住者は$5、3歳以下は無料
- 駐車場:有り(ハワイ居住者は免許証の提示で無料 / 非居住者は1台$10)
- トイレ:有り
- 公式サイト:https://dlnr.hawaii.gov/dsp/parks/maui/iao-valley-state-monument/
※2024年の情報です。訪問前には必ず公式サイトを確認しましょう。
イアオ渓谷州立公園への行き方
イアオ渓谷州立公園へ行くには、オプショナルツアーかレンタカーのみとなります。マウイ島のバスは、こちらには立ち寄りません。
近くの町・カフルイから行く場合、レンタカーではウェスト・カアフマヌ・アベニュー(32号線)を西方面へ進みましょう。
途中から道の名前がイアオ・バレー・ロードに変わりますが、そのまま進んでいくと約30分で到着します。
イアオ渓谷にまつわる神話や歴史
イアオ渓谷にまつわる神話や歴史を紹介しましょう。
イアオと半魚人の神プウオカモアの伝説
前述したように、イアオ渓谷のシンボルと言えるのがイアオ・ニードルです。
この岩の正式名は「クカエモク」ですが、マウイ島に残る伝説では半魚人の神・プウオカモアが岩に変えられた姿であるとされています。
ポリネシア神話に現れる半神の大英雄・マウイは、海からハワイ諸島を釣り上げた神様です。
このマウイには美しい娘、イアオがいました。マウイはイアオのことを大層可愛がり、ハワイ諸島で一番の権力と富、力を持つ王にしか嫁がせないと日ごろから語っていたそうです。
ところが、半魚人の神プウオカモアとイアオは恋に落ち、マウイの目を盗んで逢瀬を重ねます。マウイの耳に2人の恋愛話が入ったことでマウイは激怒。マウイはプウオカモアを殺そうとします。
火の神ペレの仲裁や娘イアオの懇願により、マウイはプウオカモアの命だけは助けることにしますが、彼を尖った岩に変えてしまいました。
イアオは岩に変えられてしまったプウオカモアをいつまでも思い続けたそうです。
また、イアオ・ニードルは海の神「カナロア」の体の一部であるという別の神話もあります。
ハワイ王族の墓場
イアオ渓谷は、14世紀頃からマウイ島の王族の墓場、埋葬地でもありました。
数百人もの高位王族が埋葬されていると言われていますが、ハワイでは、高位の人々の亡骸には強いマナ(聖なるエネルギー / 霊力)が宿ると信じられてきました。
そのため、高位の方々の神聖なマナを悪用されないように、埋葬場所は秘密にされていたのです。
実際に、多くの文献に埋葬地であるとされる洞窟の記述がありますが、洞窟が渓谷のどの辺りであるかは現在でも特定できていません。
19世紀(18世紀と記載されていることもある)のハワイ人で有名な歴史家であったカマカウによると、最初に埋葬されたのは14世紀の酋長であったカパヴァ、最後は1736年死去の酋長カラニクイホノイカモクだそうです。
ハワイ王国7代目のカラカウア王が捜索隊を出して渓谷を探したという話も残っていますが、その際にもやはり、埋葬場と伝わる洞窟は発見できなかったと言われています。
参考:ALOHA PROGRAM「イアオ渓谷州立公園」
ケパニワイの戦いの舞台
多くの王族がイアオ渓谷に住んでいたことから、渓谷は自然に政治の中心となっていきました。その結果、数々の戦いの舞台にもなったのですね。
イアオ渓谷を舞台にしたハワイの歴史上有名で重要な戦いは、1790年に起こったカメハメハ大王による進軍です。ケパニワイの戦いと呼ばれています。
ケパニワイの戦いはカメハメハ大王がマウイ島を征服した戦争で、ハワイ史上最も激しい戦い、悲惨で残酷な戦争であったことでも知られています。
マウイ軍を率いていたのは酋長のカラニクープレで、イアオ渓谷でカメハメハ軍と激突しました。2日に渡って激しく戦い、両軍に多数の死者が出ます。
イアオ河は遺体で埋まって流れがせき止められ、血に染まった水の流れが逆流したそうで、「河をせき止めた戦い=ケパニワイの戦い」と呼ばれるようになりました。
イアオ渓谷ではトレイルを楽しもう
イアオ渓谷のトレイルの名前は「Iao Needle Lookout Trail and Ethnobotanical Loop」(イアオ・ニードル・ルックアウト・トレイル と 民族植物学的ループ)といいます。
距離は1㎞弱で高低差は60mほどであるためさほど厳しくはなく、子どもや高齢の方でもあまり負担を感じず楽しめます。
トレイル中は、タロイモやバナナ、ティーリーフ、レッドジンジャーの花々などの植物が気軽に観察できます。
イアオ・ニードルが間近で見られる展望台があり、片道10分から15分程度で到着します。
展望台は階段が133段あり雨で濡れていることが多いため、足元に注意しながら登るようにしてください。
イアオ渓谷へ行く際の注意点
イアオ渓谷は、雨が多いことで有名な場所です。
午後はほぼ曇りか雨で、イアオ・ニードルも雲がかぶっていることが多々あります。
そのため、特にイアオ・ニードルの尖塔を見たい方は、天気が安定して足元が濡れていない午前中の訪問がおすすめです。
なお、駐車場に停めた車の中には何も置いておかないようにしましょう。
マウイ島でも観光客を狙った車上荒らしが出ていますので、十分注意が必要です。
マウイ島屈指のパワースポットで自然を楽しもう
マウイ島は「渓谷の島」とも呼ばれており、イアオ渓谷はそのひとつです。
緑が深く、神秘的な雰囲気の中で、かつての王族たちの暮らしや神話などに思いをはせてみましょう。
墓場であったことも関係しますが、神聖で強力なマナが集まる場所であるとされています。
見学は敬虔な気持ちを忘れないようにし、心身一杯に静かな力を溜めてください。
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