- ハワイ語のOhana(オハナ)とは何か
- Ohana(オハナ)が指す本当の意味を紹介
- Ohana(オハナ)と環境概念の関係
ハワイ語にはさまざまな意味深く素敵な言葉が多くありますが、中でも有名な言葉のひとつに『Ohana(オハナ)』があります。
ハワイが舞台となったディズニー映画『リロ&スティッチ』で何度も『Ohana(オハナ)』という言葉がでてきたため、世界でこの言葉の認知度がより広まりました。
Ohana(オハナ)は「家族」や「一族」を表すハワイ語でしたが、実際には深く大きな絆で結ばれた人々を指します。
この記事では、Ohana(オハナ)の言葉の語源や意味、概念、関連するハワイ語などについて紹介します。
ハワイの人々の精神に触れ、よりハワイについての理解を一緒に深めていきましょう。
目次
Ohana(オハナ)は深い意味を持つハワイ語
Ohana(オハナ)という言葉の一般的な意味は「家族」ですが、本来の意味は「生き死にを共にする命をかけた運命共同体」です。
日本語でいう「家族」では夫婦とその子供、曽祖父や血の繋がりのある近親者くらいですよね。
しかし、オハナはそれよりもはるかに大きなイメージを持っており、血族を中心とした固い絆で結ばれた人々のことなので、非常に大きな範囲を含みます。
一族郎党全員、ときには血のつながりがない他人であっても、絆がある人はオハナの中に含むことがあるのです。
Ohana(オハナ)の語源はタロイモ
Ohana(オハナ)の語源は、古代ハワイから神聖なものとして敬愛されている植物であるタロイモです。
タロイモはハワイの島での生活に欠かせない植物で、オハナの「オハ」は、タロイモの芽の部分を指します。
「オハ」は「繁殖」という意味がありますが、小さな球根の蕾を意味する『ohā(オハー)』は「呼吸のようなもの」という意味を持っています。
そしてそこに「〜たち」という意味の「-na」がついて生まれた言葉が『OHANA(オハナ)』です。
つまり直訳すると「呼吸をするものたち」になるため、そこから家族という意味へ変化したと考えられます。
タロイモとハワイ
タロイモはハワイでは主食とされており、古代ハワイでは「人間はタロから生まれた」と考えられていたほど神聖な食べ物でした。
ハワイでタロイモが食べられるようになったのは西暦450年ころと言われています。ちなみに西暦450年の日本はまだ古墳時代でした。
タロイモは葉も茎も全て食べられるうえ、栄養価が高く、非アレルギー性植物ですので、幼児からお年寄りまでほとんどのハワイアンの方に親しまれ食されてきました。
タロイモを繁殖させるためには、芽の部分を切り取って土に植えていきます。
「芽=オハ」なので、まさに呼吸を増していくわけです。つまり、タロイモを受け変えて増やすことは、ハワイアン民族が繁栄することにつながります。
▼ハワイアンフードについて以下の記事で詳しく解説しています。
Ohana(オハナ)は確かな絆で結ばれた人々という意味を持った言葉
昔のハワイでは、親戚一同が寄せ集まり大きな一族を形成して生き死にを共にしていました。
働き盛りの現役世代は海や山へ働きにいき、年配者や子どもたちが小さな子どもたちの世話をします。
また、子供たちそれぞれに仕事や役割があったため、誰一人として欠かせない集まりだったのです。
他一族との戦いとOhana
他の一族との戦いがあり、戦いに敗れた一族は奴隷のように扱われることもありました。
しかし一方では、Ohanaとして迎え入れられる場合もあり、大きなオハナとなって百数十名の団体となって、生活を一緒にしていたとも言われています。
オハナの中での対立やわだかまりはタブーです。
不穏は一族全体の危機としてとらえられたため、「ホオポノポノ」といった調和を保つ儀式や習慣を持ち、平和な状態を保つことにこだわっていました。
誰でも複数のOhana(オハナ)に所属している
Ohana(オハナ)はハワイにおいて大切な言葉、意識であるため、人生のさまざまな部分に浸透しています。
血族という意味での家族とは別に、運命共同体と呼べる仲間であれば、それはオハナでした。
そのためハワイでは、誰でも複数のオハナに所属しています。
- 生物学的で言うオハナ(血族)
- 仕事関係でのオハナ
- 趣味活動でのオハナ
- 教会や宗教を通じたオハナ
など
各グループでは人生のさまざまな場面で異なる種類のサポートを受けられます。
しかし、それはオハナ内全員が責任を持って誠実に行動し、相互扶助することが前提です。
各個人にはその責任を持って行動することが求められるため、心から信頼できる人々とでなければオハナにはなれません。
Ohana(オハナ)は自然環境と繋がり、広がっている
ハワイには、タロイモが最初の人間の兄弟であったという神話があります。
それほどに、ハワイアンは美しく広大で偉大な自然を崇拝し、大切にして共存しようとしているのです。
そのためハワイアンは、オハナの概念で環境と広く繋がり、配慮しています。たとえば以下のような配慮をしています。
- フードロスを防ぐ
- 必要な量だけ魚を捕る
- ゴミを拾う
- 相手の安全のために道路の規則に従う
必要なものを必要な量だけにし、無駄をなくし自然を大切にするという姿勢です。
これもハワイという土地・環境に対してのオハナ的行動と言えます。わたし達もハワイを訪れるときは、意識して実践するようにしたいですね。
Ohana(オハナ)に関連するハワイ語紹介
古代からつなげられてきた、オハナに関連する言葉を紹介しましょう。
次の言葉を知っておくと、オハナに対してより理解を深められます。
- カプ
- ホオポノポノ
- ハナイ
カプ
カプはポリネシア文化の中で発生した「社会の掟」のことで、英語のタブーの語源になったと言われています。
現在の法律に似ていますが、宗教や文化を含んでいるため範囲がかなり広い「掟」です。
ポリネシア諸島のすべてに共通するようなもの、各島々で制定されたもの、さらにオハナ内でもカプがありました。
たとえば、王族に対して礼をかく行為はしないといったカプ、魚を捕ってはいけない場所や時期についてのカプ、自然に対する態度のカプなど、さまざまです。
オハナ内でも細かく決められたカプが存在し、人々はお互いに行動を監視し合い、諫め合うことも必要でした。
▼ハワイの文化とカプについて以下の記事で詳しく解説しています。
ホオポノポノ
ホオポノポノは、平和や調和をもたらすための規律です。
オハナ内でいさかいなどが起こると神が怒り、罰を与えられるという考えから、可能な限り争いや不仲がない状態「ポノ(精神が調和した正常な状態)」を保たなくてはなりませんでした。
具体的には家族の長老が取り仕切る、家族会議のことです。何かの問題が起きたとき、その問題についてオハナ内で話し合うのをクプナ(長老・高齢者)に頼りました。
まずは問題の確認と問題解決のための手順の確認をし、神に祈りを捧げたあとに加害者と被害者をはっきりとさせ、話し合い、悔い改める時間を設け、これで終わりと宣言し、神に食べ物を捧げて終了します。
ハナイ
ハナイはハワイ流の養子制度のことです。
現代のものとは違い、初めての孫は人生の知恵をたくさん身に着けた祖父母に預け、教育してもらおうとする風習を指します。
古代ハワイでは世襲制度だったため、職業を第一子に継がせるために英才教育が必要でした。
そこでオハナ内の敬愛するクプナ(長老・高齢者)のメンバーに我が子を養子に出し、教育してもらいます。
中には初孫以外でも、優秀な子どもがいればクプナが引き取って育てることもありました。
ちなみに、ハワイ王朝の最初で最後の女王であったリリウオカラニも、ハナイで祖父母に育てられていたそうです。
Ohana(オハナ)を理解してその精神をいただこう
Ohana(オハナ)は一般的な意味でいう「家族」に対し、より深い、より真剣で信頼し合った絆で結ばれた人々を指す言葉です。
現代は「仲良し」といったもう少し軽い意味で使われることもあるようですが、伝統的な教えを守るハワイアンの中にはそれを聞いて眉をしかめる方もいます。
そのため、彼らが大切にしている言葉とその意味を、ぜひ理解しておきましょう。
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