昭和の時代から日本人が大好きな旅行先である、南国の美しい島ハワイ。
お正月休みにハワイへ行くという方も多いですよね。
その中には、外国にいても元旦は初詣に出かけたいと願う方もいるかもしれません。実は、ハワイには出雲大社があるということをご存知でしょうか?
この記事では、ハワイにある出雲大社の分院について、その目的や歴史、独特な参拝方法などを紹介します。
ハワイで出雲大社へ参拝するときには注意していただきたいことも解説しますので、ぜひ確認してください。
目次
出雲大社ハワイ分院の目的や歴史
ハワイ出雲大社は島根県にある出雲大社の分院として、1906年にハワイに建立されました。目的は、神道の布教です。
最初はダウンタウンのキング・ストリートとベレタニア・ストリートに挟まれた場所に立っていたのですが、1969年に現在の場所、チャイナタウンの外れでヌウアヌ運河沿いへ移転復興しました。
ハワイ出雲大社の御祭神や合祀とは?
主祭神は大国主大伸とハワイ産土神です。そして主祭神の他に、沖縄県出身移民の氏神として沖縄神社・波上宮・普天満宮の分霊を、1941年に合祀しました。
さらに、オアフ島内各地に祀られていた恵比寿神社・稲荷神社・ワイアナエ地域の氏神(ハワイ出雲大社の講社であった)・祖霊社も合祀しています。
日本でも神社の敷地内で七福神が揃う場所は多くありますが、ハワイ出雲大社は多国籍な神が祀られており、現在も年始には日系人に限らず多くのハワイアンが参拝に行きます。
ハワイ出雲大社ができるようになった背景
ハワイに出雲大社ができた背景は、日本人の移民のためです。
ハワイで急増するサトウキビ農園や製糖工場で働く労働者を確保するために1830年ごろよりアジアからハワイへ移民が始まりました。
当時、中国やポルトガル、ドイツ、スコットランドなどさまざまな国から移民が来島したのですが、日本からの移民が最多でした。
そして1871年には日本政府とハワイ王国の間で修好通商条約が締結、それ以降の移民は官約移民と呼ばれています。
その移民たちの中には広島県や山口県など西日本の出身者が多かったため、当時の出雲大社教官長の命令を受けて、広島出身の神職が初代ハワイ出雲大社分院長をつとめるために来布します。
そして日系移民への神道布教のために、出雲大社教会所が開設されました。
ハワイ出雲大社の繁栄と衰退、復興
地道な布教活動により、1919年にはハワイ準州政府より法人組織として認可されています。
その後、より積極的に出雲信仰の布教活動を開始し、1922年には現在の社殿ができるなど、順調に発展していきました。
しかし、1914年に起こった第二次世界大戦によって状況は一変。
日本軍による真珠湾攻撃を受け、アメリカ政府によって在布日本人は全宗教活動の停止、財産の没収、神職の身柄拘束などを受けました。
終戦後、収容所から帰布した神職は教団を再建し、社殿の返還を求めて署名運動を開始します。
そして10年に及ぶ法廷闘争を続けて勝利したため、返還された社殿を今の場所にうつして修理を行いました。
2006年にはハワイ出雲大社鎮座100周年、2016年には創祀110周年の記念大祭が行われています。
ハワイ出雲大社の参拝方法は古式作法
ハワイ出雲大社での参拝方法は現在日本で行われている方法と少し異なります。
神経質になる必要はありませんが、マナーとして参拝方法は確認しておきましょう。
【ハワイ出雲大社参拝方法】
- 1.手水舎で左右の手を洗う。
- 2.鈴を鳴らして神様にご挨拶する。
- 3.賽銭やお供えをする。
- 4.神様を敬い、深く2回お辞儀する。
- 5.胸の前で手を4回打つ。
- 6.心の中でじっくりと感謝を述べ、お祈りする。
- 7.最後にもう一度深くお辞儀する。
4回拍手をするのは古式作法です。
神社にいくと「お願いごと」をする方が多いのですが、本来は、神に普段から守っていただいていることを感謝することが正式。
まずは感謝をささげ、その後、お祈りするようにしましょう。
また、参拝するときには出雲大社に伝わる神語を唱えることが推奨されています。少々難しいのですが、ぜひ覚えて唱えてください。
神語「さきみたま、くしみたま、まもりたまい、さきはえたまえ(幸魂、奇魂、守給、幸給)」
ちなみに、お賽銭は日本円ではなく米ドルです。
参考サイト:神語 – Wikipedia
御朱印は参拝した本人にのみ授けられる
お守りや御朱印は敷地内にある社務所でいただけます。
御朱印とは、神社や寺院に奉仕される方から墨書きと捺印を授かることで、簡単に言うと「参拝証明」のことです。
参拝した日付、神社仏閣の名称、神様や仏様のお名前などが墨書きされています。
ハワイ出雲大社でも御朱印がありますので、集めている方はぜひいただいてください。なお、御朱印帳をいただく際には「初穂料」を神様にお供えしましょう。
初穂料の金額は任意ですが、一般的には5,000円からとされています。支払いは米ドルに換算してくださいね。
そして、信仰と参拝の証であるという性格上、御朱印はお土産にはできません。
参拝した本人のみに授けられるため、お土産として扱うべきではないことを覚えておいてくださいね。
ハワイ出雲大社へのお参りで気を付けるべきことは?
ハワイ出雲大社へのお参りで気を付けることは、次の3つです。
- 治安の悪い地域であるため、夜は大変危険なので午後5時には正面ゲートがしまる
- 祈祷などは予約が必要
- 敷地内はあまり広くない
治安の悪い地域にある
ハワイ出雲大社はチャイナタウンのすぐ横といえる場所にあり、チャイナタウンの治安は悪いことで有名です。
特に日本人は大人しくてお金を持っているという昔ながらのイメージがあるため、よく狙われると思って行動するようにしましょう。
昼間でも一人では歩かないようにと注意を受ける場所ですが、夜は大変危険で現地の人も歩きません。
そのため、ハワイ出雲大社も午後5時には正面ゲートが閉まり、参拝できないようになります。
暗くなってからはリスクが高いため、出雲大社へ行かないようにしてください。
祈祷などは事前予約が必要
出雲大社では、日本での神社でできること、たとえば初宮参り、七五三、良縁成就、厄除け、交通安全等の御祈願、結婚式、地鎮祭、家清め、事務所祓い、神葬祭等などはすべて執り行えます。
ただし、当日の申し込みでは難しいため、必ず事前に電話またはメールで受付時間内に問い合わせしましょう。
敷地内はあまり広くない
ハワイ出雲大社は、敷地があまり広くありません。
しかし参拝客はたくさん来るため、はしゃいだり走ったりすると人にぶつかると予想できます。
不要なトラブルを生む可能性があるので、周囲の方の迷惑にならないよう、ゆったりした気持ちで参拝しましょう。
ハワイに行くならハワイ出雲大社へお参りを!
ハワイには100年以上も前に作られた、出雲大社の分院があります。
現地の日系人だけでなく、さまざまな人種がお祈りのために訪れる場所で、多くの神様を祀っています。
ハワイにいくときには、ぜひ参拝してみましょう。参拝した日本人観光客の中では、特に商売繁盛・出世運についてご利益があると言われています。
ただし、あまり治安がよくない地域にあるため、一人で行くことはおすすめしません。出雲大社の敷地内は安全ですが、行き帰りには十分な注意をしてくださいね。
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