ハワイの定番のお土産のひとつに、コナコーヒーや最近では有名になってきたカウコーヒーを選択する方も多いのではないでしょうか。
世界に名だたるコナコーヒーは、ハワイのパンケーキが流行ると共に、日本でもよく見聞きするようになりました。
この記事では、多くのファンを持つコナコーヒーの歴史、そしてコナコーヒーの特徴やグレードの種類などについて解説します。
コナコーヒーの立役者と言われている日系移民についても解説しますので、美味しいコーヒーが持つ歴史について学んでいきましょう。
コナコーヒーは世界屈指の高級グルメコーヒー
コナコーヒーはハワイを代表する名産品のひとつで、ブルーマウンテンやキリマンジャロと並ぶ世界三大コーヒーのひとつでもあります。
えぐみや癖がないフルーティーで柔らかな酸味、口当たりの滑らかさ、甘い香り、コクがあることが特徴です。甘さや風味はパイナップルやメロンに例えられることもありますよ。
コナコーヒーが高価な4つの理由
コナコーヒーが世界屈指の高級グルメコーヒーと謳われるのは、次の4つの理由があります。
- 品質の良い豆のみがコナコーヒーと認定されるから
- 生産量が少ないから
- アメリカで作られるコーヒーであるから
- ハワイ島が太平洋の真ん中にあるから
品質の良い豆のみがコナコーヒーと認定されている
コナコーヒーが最高級のコーヒー豆であると言われるのは、そもそもハワイ州の品質管理局によって認められた豆だけがコナコーヒーブランドを掲げて販売・輸出できるからです。
コナ地区のみでしか取れず生産量が少ない
コナコーヒーはその生産量の少なさから希少性が高いため、価格は上がってしまいます。
ハワイ島は日本の岐阜県と同じ程度の面積がありますが、コナコーヒーはその中の一部、コナ地区だけで取れる豆です。そのうえ、コーヒー豆は一粒一粒を手で収穫しなければなりません。
コーヒー豆はひとつひとつが小さく傷つけると商品にならないため、機械化が難しいという特徴があり、生産量は少なくなります。
アメリカで作られるコーヒーであるから
ハワイ州は、アメリカ合衆国では唯一商業的なコーヒー栽培が認められているところです。
アメリカで作られているコーヒーであるため、農園で働く人々はアメリカの物価に合わせた適正な価格の賃金が支払われています。
そのため、他国、特に発展途上国での農園に比べて人件費や土地代は高額です。
ハワイ島が太平洋の真ん中にあり輸出にコストがかかる
コナコーヒーが高額なのは、単に場所の問題もあります。
アメリカのひとつとは言えハワイ島は太平洋の真ん中にある国ですので、どこに輸出するにしても相応の費用がかかるため、その分の費用が豆の価格に上乗せされます。
コナコーヒーの歴史
ハワイにコーヒーが伝わったのは1825年のこととされています。
この年、オアフ島のボキ首長がカメハメハ2世夫妻のイギリス訪問に追随した際に、帰国の途中で寄ったブラジルのリオデジャネイロから『コーヒーノキ(コーヒーの木)』を持ち帰りました。
持ち帰ったコーヒーノキは最初にオアフ島で栽培を試みたのですが、栽培に適した土地ではなかったため実がつきませんでした。
その後は観賞用に栽培されますが、1828年に現地の牧師がハワイ島へ伝えます。
すると一日の寒暖の差が大きく、コーヒー栽培に必要な肥沃な土壌であったコナ地区ではコーヒーの栽培に成功し、多くの農園主がコーヒーの栽培に力を入れ出しました。
ハワイでコーヒー栽培に適していたのがハワイ島コナ地区だった
コナコーヒーとはコナ地区で作られたコーヒーを指します。
前述したように、ハワイ島のコナ地区はコーヒーの栽培に適した場所でした。
フアラライ山とマウナロア山の西側斜面、標高300〜700mの場所は通称「コナコーヒーベルト」と呼ばれています。
肥沃な火山性土壌で水はけも良好、1日の寒暖差が10度以上あるため、良質なコーヒー作りに必要な条件が全て揃っていました。
他の島でもしばらくはコーヒー栽培をしたのですが、当時からコナで作られたコーヒーの香りや味は格別だったそうです。
さらに労働者不足や干ばつ、害虫などの影響があり、他の島でのコーヒー栽培は衰退し、代わりにサトウキビ栽培が始まりました。
その結果、ハワイ島でコーヒー栽培が残ったのはコナとハマクア地区だけになってしまったのです。
その後も戦争や価格暴落などの紆余曲折を経て、コーヒー栽培は衰退と成長を繰り返します。
現在のハワイではコナ地区以外でもマウイ島やオアフ島などでコーヒー栽培が行われていますが、やはりコナコーヒーは特別とされています。
コナコーヒーを支えてきたのは移民たち、特に貢献したのは日系移民
コーヒー栽培を最初に担っていたのは白人経営で、中国系やポルトガル系の移民たちが労働者として栽培していました。
しかしコーヒー相場が下落したことで初期の資本家や農園主のほとんどがコーヒーを諦め、サトウキビ栽培や牧畜業へ変わってしまいます。そこに入ったのが、官約移民でやってきた日本人たちです。
当時のハワイでは、農作物の一部を収めることで農場を分割したものを借りられるシステムがありました。つまり、資金力のない移民でも農園主になれるチャンスがあったのです。
日系移民はコーヒー農園での成功を夢に見、地道な努力を続けてコーヒー栽培を継続しました。
1890年にはコナに8人の日本人がいたそうですが、1910年には少なくとも400世帯もの日本人家族がコナに住んでおり、さらにそのすべてがコーヒー農家だったという記録があります。
参考:ALOHA PLOGRAM「日系移民とコナコーヒー」
▼ハワイと日系移民については、ハワイの歴史についての記事もご覧ください。
コナコーヒーのグレード4指標と5つの種類
コナコーヒーは貴重で価値が高いため、粗悪品や偽物が出回ることがありました。
その結果、現在はハワイ州の品質管理局が豆のグレード検査をして、品質が証明された豆のみが「コナコーヒー」として販売できる制度になっています。
グレードの指標はコーヒーのブランドによって異なりますが、コナコーヒーでは以下4つの指標があります。
- 欠陥豆の含有量
- 豆の水分量
- 生豆の色
- 豆の大きさ
豆の大きさはスクリーンサイズと呼ばれるもので表されていますが、最高の格付けの豆は大きく、ランクが下がるに従ってサイズも小さくなっていきます。
コナコーヒーのグレードの種類
コナコーヒーのグレードは次の5つです。
【エクストラ・ファンシー】
最上級の品質。スクリーンサイズは19以上で、欠点豆は1ポンド(約453g)中10粒以下とする。
【ファンシー】
ランク2位の品質。スクリーンサイズは18で、欠点豆は1ポンド中16粒以下とする。
【ナンバー1】
ランク3の品質。スクリーンサイズは16で、欠点豆は1ポンド中20粒以下とする。
【セレクト】
スクリーンサイズの基準はなし。欠点豆は1ポンド中5%以下とする。
【プライム】
スクリーンサイズの基準はなし。欠点豆は1ポンド中25%以下とする。
最高級のコナコーヒーは忍耐強さの勝利で世界に広まった
コナコーヒーが現在の地位を獲得するまでに、ハワイでは多くの紆余曲折がありました。
しかしコナコーヒーを成功に導いたのは、日系移民の不断の努力であることは間違いありません。
ハワイ帰りのお土産にもらったり、ハワイアンカフェに行ったりした際には、ぜひ最高の品質を誇るコナコーヒーを味わってみてください。
コーヒー好きな方ならきっと、その豊かな香りと風味に夢中になってしまうでしょう。
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